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●掲載コンテンツ(全6画面) 1/6 ショップデザインの変遷(当記事) 2/6 ショップデザインの事業的位置づけ 3/6 ショップデザインの落とし穴 4/6 ショップデザインの方法論 5/6 21世紀のリテールベーカリーに求められるデザイン 6/6 21世紀のリテールベーカリーの一つの姿の提案 |
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特集の趣旨 現代のベーカリービジネスは一筋縄ではいきません。生活者の目は厳しく経済状況も油断を許さない状態が続いています。そんな中「店舗デザイン」などの「デザイン戦略」と考えられるヴィジュアルプレゼンテーションや空間のデザインのことを考え直してみようという企画がこの特集企画です。事業主の意識を空間デザインにも表し、ヴィジュアルな要素をコントロールする事は生活者に対するあなたの姿勢を表す一つの要素だからです。顧客たちは、あらゆるイメージを重ね合わせ、あなたのお店のイメージを脳に刻みつけます。それは商品そのもの、サービス態度、空間的心地よさなどです。決して「空間詐欺」は認めてもらえることはありませんが、イメージがあなたの商品と合えば強く印象づけられ、また次に足を運ぶきっかけになり得るのです。そんな「デザイン戦略」をその歴史的成長と、近未来の予測の時間軸の中で考えてみるとその本質が明らかになってきます。 |
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ショップデザインの変遷 店舗をデザインしようという意識はいつ生まれ、現代までにそれはどう移り変わったのでしょう。その移り変わりは何のための変化だったのかを探ってみましょう。 |
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● 店舗デザイン黎明期(歴史について) パン屋に限らず第二次世界大戦後、日本における「現代」がはじまり、猛烈な勢いで欧米の文化が流れ込んできました。この時期、社会システムも当然激変し、「向こう三軒両隣」の濃い交流と、町内のすべての出来事をそれぞれの住民が把握しているという住区のシステムが崩れ、街の「見えない構造」が急激に変化したのです。 最も大きな変化は「人の移動距離がそれまでと格段に大きくなるという変化をした」ということです。それまでいかなる「商売」も地域に密着し特段のお店としての「主張」など必要ではなかったといえるでしょう。人は必要なときに必要な分だけその町の「商店」に「商品」を買いに行くのが普通だったのです。 人が「会社」に属し労働のために通い、人々の移動が日常的に多くなり、自分が住む街からも動くようになってきたとき、「店」はその存在を意識的に知らしめることでより多くの客が訪れることに気がついたのです。それ以来、より多くの顧客を獲得するために「意匠=デザイン」を凝らし始め、商品の商品価値、告知価値を高める努力をはじめたといえます。 |
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● ベーカリーの店舗デザイン(1960年〜70年) かつて売り場に特別な工夫は見られませんでした。最も気を使ったのは「看板」くらいです。人の目に付くことがアピールの初源的な意味だから当然といえば当然でしょう。そして目に付いたときその看板に求められたのは「権威性」です。看板の裏に張り付いたイメージに権威性があることは商品の信頼性を高めるからです。 看板はまさに信頼を受けるための機能を持っていたわけです。現代では「看板」は「サイン」と呼び方を変え求める機能も変わってきました。サインが求める機能は「お洒落具合」であったり「ライフスタイルへのシンクロ具合」だったりすることもあります。あるいは欧州の雰囲気を持ち込み「本格性」を訴えたりする演出機能だったりするのです。 やがて、売り場の工夫が求められるようになります。その視点は「どう商品を目立たせるか」ということです。いまでも店主が工夫するところであります。全く同じ商品構成でパンを売ってもそれを展示する場所で売れ方が変わっていくのはみなさんもすでに経験済みであるに違いありません。 焼き上げられたパンは「陳列棚」という「ステージ」でその姿を見てもらうようになってきたのです。よりおいしく見えるように陳列棚下には照明が仕込まれるケースも増えたりしました。 もう一つの方向は「衛生的概念」と「商品価値の演出」という観点です。こちらを重視する場合はガラスケースに収められたり。対面式でスヌーズカットの仕切板の内側で店員が対応するというもの。これらは機能的な部分に重きを置いたデザインの世界ですが、かつてはそんなことの工夫で「商品に対する思い入れや、優しさ、ひいてはお客様に対する心配り」を表現できていたのです。 下の図でいえば、ショップデザインの黎明期から、拡充期まではデザインの世界もその程度のアイデアや対応で、いわゆる「差別化」も出来ていたのです。 |
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●FC展開企業の台頭(1970年〜90年) しかしながらこのあと、ある時期また大きな変化の波がやってきます。「ショップの差別化期」と書いている部分にあたりますが、実はこれは「FC展開企業の成長期」の事でもあるのです。FC展開企業は、そのノウハウを複数の店舗で展開していくためデザインをマニュアル化し各店舗に適用していきました。このFC展開の場合、そのデザインの統一性が非常に重要だとされた時代があったのです(一部ではまだそうである)。その理由として、あるブランドであることを明確に伝達したいという意識があったし、一目で、あるブランドの展開店舗だということがわかる事を展開企業側も望んだからです。 良しにつけ悪しきにつけこの時代に「デザイン意識」は格段に進歩しました。それに触発され気の利いた「リテールベーカリー」は個人の持ち味を店舗にも表現する方向へと進んだのです。 しかしながら欧州のように建築を「社会基盤」として「古い建築」をリモデルしながらインテリアやファサードを改装しながら使うという事に慣れていない日本では、当時「店舗デザイナー」の質も量も低く、リテールベーカリーがデザイナーを起用してまでの店舗を作ることはまれで、「街の工務店」に設計施工で頼むレベルが普通でした。これでは歴史が作り上げた職能としてのデザイナーが存在する欧州のレベルには追いつくものではなかったのです。 |
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●図 デザイン意識の変化とデザインテーマの変化 デザインの意識が生まれたと考えられる戦後から、デザインのテーマを時間軸によって整理しながらプロットした図が下図です。戦後から現代までを大きく固まりに分けると私は1.「Shopの黎明期」。2.「Shopの拡充期」。3「Shopの差別化期」。4.「Shopの卓越化期」というようなユニットに分けられるように考えています。現代は「差別化」といわれて来た「いかに他店と違うか」ではなく「いかに他店より何かのテーマで優れているか」が問題だと私は考えています。 |
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●現代の店舗デザイン 現代では「店舗デザイン」の最も大きな意味は、【「店の意識」と「生活者の意識」とのシンクロ(共感)をどれだけ獲得できるか。】に集約されると言っていいでしょう。それぞれの事業者は何らかの「テーマ」を持って店舗を構え、生活者はそれをどこかで冷静に見ながら判断するのです。決してそれほど意識して見ているわけではないのですが、現代の生活者はそれを瞬時に見て取れるほど、あらゆる情報の海の中で自然にトレーニングされてきているのです。そして、テーマが集約されているものが「商品」であり、「店舗」はそれを演出する環境要素といえます。 「商品」はものを語りませんが、その造り、その味、その素材によって「商品」には「情報」が込められています。ある種の「信号」を持っていると考えることが出来るのです。その「信号」のボキャブラリーがたとえば「国産小麦」だったり「自家製天然酵母」だったり「無添加」だったりだったとするならば、「環境要素」もそれら商品と同じ範疇のボキャブラリーへとつながる要素で構築されることが「わかりやすいデザイン」であったりするのです。 あるいはそれらの要素を重要視する「ある種」の「生活者」が共通に持っている生活上の規範のボキャブラリーで構成されると共感を得られやすいデザインとなることが多いといえます。「この店の趣味はぴったりくる」などというときの「趣味」という言葉が持つ意味と同じです。 この考え方を仮に「共通言語デザイン方式」とでも呼んでおきましょう。現代では機能的なデザインなどは当たり前にこなされねばならない時代で、かつ「ホンモノ性」に関して、騙されるような生活者はもういません。したがってコケオドシのデザインも通用しないのです。欧州のBoulangerieのデザインをそのまま踏襲して展開する例なども「商品」が「伝統的製法を守って提供している」などというときはそのデザインも生きてくることになりますが、そんなデザインの店舗で日本の「伝統的菓子パン」を販売するのはおかしいように、商品の持つコードと販売環境のデザインのコードがシンクロする必要があると一般的には考えられます。 生活者の空間デザインに対する意識は非常に高くなっており、今まで述べた事を計画するにも、きっちりと整理していかないと生活者に評価していただける店舗デザインをすることは難しくなってきたのです。 次回は事業戦略の中における「デザイン戦略」という観点で冷静に世の中を判断する材料を準備し、その中で店舗デザインを考える一つの手法論を紹介しましょう。今回はあなたが商品を通して世に問いかけたいものも、店舗のデザインにもその意志を持たせることによってもっと伝わっていく一つの戦力になっていくという話でした。 大屋和彦 |
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