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ブーランジェリーカフェについて。 世の中「カフェ」ばやりです。このカフェは色々な業種から進化してきたもので、そのルーツにいくつかの業態が潜んでいます。あなたが「ブーランジェリーカフェやりたい!」と思ったら、その成り立ちについて知っておくことは自分の特徴を知る上で、あるいは優位に事業を進める上で「敵を知る」ことであり、世の「ニーズを知ること」でもあり重要な事です。 マクドナルドをカフェと呼ぶ人はいないでしょうが、日本の「カフェ」の出現には、大きな伏線となっていたと私は考えています。20年以上前「お茶をする空間とそのサービスの提供」は「喫茶店」という業態がメインでした。比較的閉鎖的な空間でひっそりと喫茶店で休憩する。あるいは超美味しいとされているコーヒーをお行儀よくいただくという街場の2極と、あとはシティーホテルのびっくりな値段のコーヒーショップくらいだったでしょう。現代のおじさん達は(団塊を中心にその後10年くらいまで)そんな、希薄な喫茶店文化の中で過ごしました。そうこうしているうちにマクドナルドのファーストフードで育ってきた世代が、ちょっとオトナになって「ちょっとお茶でもしよーぜ」と喫茶店に入ったところ100円台であるはずのコーヒーが400円だの500円だのって言われてびっくり。「あんな飲み物にそんな金出せるかよ」と心底思ったのです。実はその時登場するのが突如現れた「ドトールコーヒー」です。結構うまいコーヒーで100円台からあります。種類も豊富だし、そこで「喫茶店離れ」が怒濤のごとくやってきて、一人勝ち状態現象が起きました。 悲しいのは、ドトールはテーブルも狭く、ぎゅーぎゅー詰めだしなんだか明るすぎて雰囲気も何もあったもんじゃない。とは誰も思っていました。でも100円台のそこそこ美味しいコーヒーは売れました。ドトールが皆さんが憧れる「カフェ」とはもちろん言いません。プロント、etc.少しずつ業態を変化させたスタイルで激変の時代がやってきます。その時日本の事情にすっぽりはまったカフェがありました。「シアトルスタイル」です。なんだかグラフィック的にもお洒落だし、コーヒーも日本人好みの味でした。コーヒーはやっぱり日本人はアメリカナイズされていますから味もお気に入りでした。運営スタイルもたくさん客を入れ、リーズナブルにファッショナブルなフレーバーコーヒーまで飲めるのでした。もちろんおじさん達は困りました。「何になさいますか?」「ホット・・・ちゅーのはないの?」てな具合です。 しかして、カフェの現代版基礎が出来上がりました。その雰囲気は今までの喫茶店文化を根こそぎ破壊しました。この破壊の中で今まさに花盛りの「カフェ」と呼ばれ、イメージ的にも「カフェとはこういうもの」という業態が生まれ出したのです。それは最終的には異業種からの参入によって決定づけられたといっていいでしょう。ファッショナブルな雑貨屋さんの進出です。そのウリは見事にあたりました。「こんな生活シーンを楽しんでいる私」というシーン造りは、「何か足りない」と思っていたドトール卒業組も納得させることが出来ました。コーヒーが380円になっても少しもイヤじゃありません。何か新しい世界が広がり始めたからです。 一方で「コーヒーショップの変形としてのカフェ」と、「生活シーン演出型のカフェ」、そして「カフェめし」を携えた「食事系を含むカフェ」、あるいは「スウィーツ系カフェ」という業態も受け入れられ始めました。お洒落な居酒屋でも居酒屋は居酒屋、「あたしにはちょっと不似合いだわ」と思う女性客に受け入れられたのはお酒も出す食事系のカフェ。ピッツェリア、トラットリア、リストランテなどという伝統的なグレードより、イタリアンカフェの方が現代人にはわかりやすいし、警戒感がないし軽快だしオシャレと感じたのです。 ところで、おしゃれな雑貨屋さんがやらなくても現代人は生活シーンをビジュアルに演出することぐらい、ちょっとセンスのある人には簡単です。センスは時代と共に進化し、まさに「時代と共にある」のです。いくつものイメージが重なり合いいくつものジャンルが出来上がっていきました。ちょっとアジアンなカフェも登場です。前出のおじさん達にはやはりわかりませんでした。それはおじさん達のアジアのイメージではなく、リゾートなアジアの演出だったりするからです。 つまりかなり大ざっぱなひとくくりですが、カフェ文化は今、百花繚乱楽しい盛りです。でもその成り立ちは、1.コーヒーショップ起源 2.雑貨・ファッション起源 3.食事系起源 4.アルコール系起源 5.スウィーツ系起源 というルーツの変化系です。そして「食事系起源」以外もサンドウィッチやちょっとしたスウィーツ系と組み合わせながら、「食事」による差別化をする時代に入りつつあります。 さて表題の「ブーランジェリーカフェ」はまだあまり存在しません。冷凍生地を使ったパンによるブーランジェリーもどきカフェはぼちぼち見ますが、本格的なスクラッチパンによるブーランジェリーカフェは数えるほどです。これだけカフェが浸透してきたのですからもう沢山あっても良さそうなものです。それが存在しないのには実は訳があったのです。 スクラッチのリテールベーカリーは基本的にオーナーシェフが作っています。パン職人は今までのパン屋だろうと、ブーランジェリーだろうと基本的には「作って売る」だけ。ましてやパン職人は工房で朝早くから夕刻まで働きづめであまりお客様と接する事さえない生活を送っています。でも「おれのこのライ麦パン、美味しいのになあ」売れ残った実にうまそうなライ麦パンを見つめて呟きます。でも呟くだけです。「よし、こうやって売ろう」という方法を、想いがあるなら考えましょう。サービス的な部分の経験がないが故にそういうオペレーションが入ることをとても尻込みします。シロウトでさえいきなり「カフェ」をやりたい。などと現代では言い出すのに、あなたは食の世界のプロなのです。 その時出てくるのが「カフェスタイル」です。いったいどこのカフェで本職のパン職人が焼いたパンを一番美味しい状態で出せるでしょうか?焼きたてをウリにするしかない「冷生地パン」を扱うか、どこかで調理したサンドウィッチを配送してもらっているだけのカフェに、歴然とした差を付けられるのが「パン」を使ったメニューです。それこそ美味しいスライス厚のライ麦パンとしっかり載せたチーズとハムそれに彩りのいい野菜を付けて、美しいトッピングなどを添えれば一つの素晴らしいメニューの出来上がりです。構造的に優位な部分を最初から持っていることに気づきましょう。 現代の「カフェ」が持つ見逃してはいけない客側の論理があります。これはスーパーのイートインコーナーには決してない部分です。「こんな素敵な空間で、美味しいものをつまみながら時間を消費している私って都会的でちょっと素敵・・・」もっと言えば「素敵な出会いさえ起こりそう」という雰囲気を消費することにお金を払っているということに気付かねばなりません。演出性のないカフェは、例え素晴らしく美味しいサンドを出しても土俵に登ることが出来ません。持ち帰るパンを売るだけならまだしも、一旦店の中でくつろいでいただくと言う事には、いくつもの消費の構造が重なってくることを自覚する必要があるのです。 |
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