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例えばブーランジェリーを営んでいる場合、お客様から「おたくのお勧めのパンはどれですか?」と聞かれたとしましょう。
どのパンも丹誠込めて作ったパンです。どれも想いがこもっていますから「はいどのパンもお勧めです」と言いたいところですが、その答えが一番マーケティング思想に欠ける負の方向の模範的解答です。
では正しい答えはいったいどういうものでしょう。
店のコンセプトに合った商品を即座に答え、その特徴などについてきちんとお話しする。というのが一つの方向です。ただし、これも模範的解答というわけではありません。
お客様あっての商品です。相手あっての商売です。コンセプトにあった商品を紹介するのは、想いはあるにせよ「店の都合」になってしまいます。その商品を広めていくのが一つのコンセプトなので紹介する事は正しいのですが、まずはお客様の状況を聞き出さねばなりません。そうです、お客様が食される場面、シーンによってお勧めするものが違うはずだからです。 「お食事の時のパンですか?それともデザートやおやつ的なものをお探しですか?」というような、セグメントしていくためのコトバがまず必要なのです。 「食事の時のパンを探しています。今日は○×なお料理なんです」というコトバが来たらOKです。 「それでしたら△□×」などはどうでしょう。とお勧めするものが明確になっていきます。
この会話の後は何を言っても大丈夫です。お客様にお時間があるように思われれば、本当の店としてのコンセプト商品のことでも、新商品の事でもお話ししましょう。
マーケティング意識の始まりというのは実はこういうことなのです。ここに何かを考えて生み出した「商品」があります。その商品と「社会」との関係を見つめ、関係を見つけだし、その販売やサービスなどを促進するための活動ということです。
さて、上の例では、売場での出来事の中にマーケティング意識を見てみました。マーケティング意識というのはあらゆる仕事活動の中で行うべき事なので、「マーケティング、マーケティング」とことさら横文字で考えなければならないことではありませんが、その意識を育てることが大事なのです。たとえば、そんなことを言わなくても工房の中では「こんなパンがあったら喜んでくれるんじゃないかな?」という考えを持ったり「やっぱり関連商品もいくつか厳選したものを選んで置くとよろこんでもらえるんじゃないかな?」と実際の食べ方のシーンを想定して商品構成を考える意識というようなことが、また一つのマーケティングだったりするのです。
その意識が芽生えれば、あとは全体の骨格のマーケティング、スケールダウンした細かなマーケティング、一日の時間の流れの中でのマーケティング、月単位の変化によるマーケティング、季節変化におけるマーケティング、年齢層によるマーケティング、学生やOLなど社会的立場の違いによるマーケティング、雨の日のマーケティング、積極的広報を含めたマーケティング、Web戦略によるマーケティングなど枚挙にいとまはありません。
それらの各論については他の項に譲り、まずは「マーケティング意識の創造」という観点から入ってみました。是非この「商品の販売やサービスなどを促進するための活動。」ということの具体的な感覚をつかみ取ってください。
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